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【2017/10/24 14:49 】 |
第一章 Melior est certa pax quam sperata victoria. -望まれる勝利より確実な平和の方がよい。- 5


フランセスクの、エンドブレイカーになる経緯からマスターを失ってアクスヘイムへ辿り着くまでを描いたSS
『Nec possum tecum vivere, nec sine te. -私はおまえとともに生きていけない、おまえなしに生きていけない-』の、第一章の五話目です。

アンオフィ、オリジナルキャラの発生率が高いです。
また、展開によっては暴力表現・残酷描写・人の死等、暗い部分が存在します。
苦手な方はブラウザバックをおススメします。

オーケー、見てやってもいいぜ!
という奇特な方だけ、続きをどうぞ。














5.

ランバートは、目の前に現れたフランセスクに視線を向けた。
少女のような容貌(しかし先程のティティアナの言葉から男なのだろうと認識した)、細い体つき、なんの覇気もない雰囲気。
どれをとっても、とても強そうに見えない。
「お前が…?ふん…まったく強そうに見えないな。まぁ…囮くらいには使えそうか?」
「他の、村人…は…連れて…かせない…」
小馬鹿にしたような物言いのランバートに、フランセスクはいつもの調子で…ただ意思の篭った声で返す。
その様子にランバートはピタリと無表情になり、グイッとフランセスクの胸ぐらを掴み引き寄せる。
急に態度を変えたランバートは、フランセスクに向かって怒気をはらんだ声で言い放つ。
「…いいだろう。望みどおり、お前をガーディアンにしてやる。ただし、俺には絶対服従だ。いいな?」
「……かまわない」
「ふん…なら、交渉成立だな」
そういうと、ランバートはフランセスクから手を離す。
「そんな…お兄ちゃん!?」
ティティアナは止めに入りたかった。
よりによって連れていかれるのが、自分の兄。
そんな事、許せるはずも認められるはずもない。
「待って、そんな…ボクはそんなの絶対嫌だよっ!」
なんとか声を振り絞って、兄の服の裾を握り締める。
目があったランバートを鋭く睨みつけ、ティティアナは兄を見上げる。
フランセスクは相変わらずの無表情でランバートを見ていた。
「1日だけ猶予をやる。その間に、せいぜい家族との別れを惜しんでおけ」
ランバートはニヤリを笑うと、傍に連れていた男と共に広場から立ち去った。
彼らの姿が見えなくなると、村人たちの何人かが周りにやってくる。
その中には、村の異変を聞きつけたであろう父親と母親の姿もあった。
「フラン…ティティ…」
母親は悲しげな顔で二人をそっと抱きしめ、父親も悲しげな顔でフランセスクを見つめ問いかけた。
「フラン…本当に、それでいいのか?」
「…誰かが…行かな、きゃ…収まらない…から…」
村人たちは、誰も何も言えなかった。
皆俯き口を閉ざす事しか、それしか出来なかった。

父親の一言で村人たちは皆広場から解散し
フランセスクたちも家に戻る事になった。
その後父親と母親は、村長らと共に話し合いをするとの事で
家には、フランセスクとティティアナだけが残った。
フランセスクは、淡々と部屋の荷物を整理し
ティティアナはその兄の後姿をジッと椅子に座ってみていた。
そしてしばらくしてから、ティティアナはゆっくりと口を開いた。
「…お兄ちゃん」
つぶやくように言った声に反応し、フランセスクは手を止めてティティアナの方を見た。
ティティアナは椅子に座って枕をクッション替わりにギュッと抱え、俯いている。
「何…?」
「…どうして、あんな人についてくなんて…言ったの?」
フランセスクはそう聞かれ、しばし考えた。
確かに、あの青年が欲しがっていたのは村で一番腕の立つものだった。
それはフランセスクではない。
だからこそティティアナにとって、フランセスクが連れていかれるのは予想外だった。
それに、フランセスクは、基本的に自分から何かを主張したりしない。
兄がハッキリ「自分が行く」などと言うのは、ティティアナは初めて聞いた。
「……判らない」
「え…?」
フランセスクは、そうポツリと呟いた。
その言葉に、ティティアナは思わず顔をあげる。
「ただ…ティティ…が、言い争ってる…のを…聞いて…」
あの時の自分の行動原理を思い出すように、ゆっくりと言葉を紡いでいく。
「気づいたら…そう、言ってた…」
「…お兄ちゃん…まさか…」
ティティアナは、兄の言葉に目を見開いた。
そしてスグに後悔した。
フランセスクは、ティティアナの為に割って入ってきて自分を差し出したのだ。
あのままだったら、ティティアナは確実にランバートを怒らせていただろう。
そうなればランバートの宣言通り、奴隷商人に売り飛ばされていたかも知れない。
(ボクが大人しくしてれば、お兄ちゃんを巻き込まずに済んだのに…!)
あげていた顔を枕に埋め、ティティアナは自分に対して怒りを感じた。
自然と身体が震える。

すると、ティティアナの頭にぬくもりが降りてきた。
温かい手が、ティティアナの頭をゆっくりと撫でる。
彼女が少しだけ顔をあげると、涙が滲んで良く見えない目に兄の顔が見えた。
「…ティティ…私は…ティティが…笑顔…で、居れば…いい…。だから…泣かないで…?」
めったに表情を変えない兄が、優しく微笑んだ顔をしていた。
「お兄ちゃん…!」
ティティアナは枕を手放して、兄に抱きついた。
ギュッと兄の服を握りしめて胸にすがりつくと、フランセスクはティティアナを優しく抱きしめかえした。
「…ボク、笑顔で居るよ…!だから…お兄ちゃんも、元気でいてよね…」
「うん…約束…する…」

お互い頬に親愛のキスを送り、二人は最後になる約束をかわした。

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【2009/09/16 19:05 】 | SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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