フランセスクの、エンドブレイカーになる経緯からマスターを失ってアクスヘイムへ辿り着くまでを描いたSS
『Nec possum tecum vivere, nec sine te. -私はおまえとともに生きていけない、おまえなしに生きていけない-』の、第一章の六話目です。
アンオフィ、オリジナルキャラの発生率が高いです。
また、展開によっては暴力表現・残酷描写・人の死等、暗い部分が存在します。
苦手な方はブラウザバックをおススメします。
オーケー、見てやってもいいぜ!
という奇特な方だけ、続きをどうぞ。
6.
出発の日…。
フランセスクは珍しく太陽が昇る前に目覚めた。
それも、父親と母親…それにティティアナはまだ寝ている夜が明けない朝方。
昨日のうちに纏めた手荷物1つを持って、フランセスクは家を出た。
唯一、己の武器である槍だけは部屋に置いてきた。
フランセスクにとって槍は、狩猟に使う為の…村の為に振るう武器。
それ以外に槍を使う気になれず、手放したのだった。
外へ出ると、まだ朝靄は晴れず人気がない。
フランセスクが村の入口へ向かうと、ふたり分の人影が立っていた。
ランバートと、彼に付き添っていた男だ。
二人はフランセスクに気がつき、ランバートが声をかけてきた。
「へぇ…ちゃんと1人で時間通りに来たか」
「…手紙に…そう、書いてあった…から…」
フランセスクはそういうと、1枚の紙切れを取り出して見せる。
この紙切れは、昨日ランバートと接触した時に彼がフランセスクの服に忍ばせたものだ。
「こうでもしねぇと、村の奴らがお涙頂戴で見送りとかしにくんだろ?そんな茶番、ウザったくて見てらんねぇっての。…それともあれか、村の皆に惜しんでもらってるとこでも見ときたかったか?」
ドンっと強く胸元を押され、フランセスクは後ろに倒れる。
そんなに勢いが無かったことと手で支えたことで、背中と頭は地面にぶつけずに済んだ。
「…ランバート様、そろそろ参りましょう」
昨日もずっと沈黙を保っていた男が、ランバートに向かって低い声で進言した。
「あ?そうだな…。おい、さっさと行くぞ」
そういうとランバートは、村の外へ歩いていく。
続いて男も、フランセスクを一瞥してからその後に続く。
「……」
フランセスクは立ち上がり、まだ靄の残る村を一度振り返ってから
二人の後について、村を出て行った。
日が昇り、村はいつの間にか居なくなっているフランセスクに騒然となる。
ただ1人…ティティアナだけは、兄の無事を祈るように
兄の残していった槍をギュッと握る目を閉じた。
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第一章、完。
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