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【2024/04/24 23:29 】 |
第一章 Melior est certa pax quam sperata victoria. -望まれる勝利より確実な平和の方がよい。- 4


フランセスクの、エンドブレイカーになる経緯からマスターを失ってアクスヘイムへ辿り着くまでを描いたSS
『Nec possum tecum vivere, nec sine te. -私はおまえとともに生きていけない、おまえなしに生きていけない-』の、第一章の四話目です。

アンオフィ、オリジナルキャラの発生率が高いです。
また、展開によっては暴力表現・残酷描写・人の死等、暗い部分が存在します。
苦手な方はブラウザバックをおススメします。

オーケー、見てやってもいいぜ!
という奇特な方だけ、続きをどうぞ。














4.

日が真上に差し掛かった頃。
ティティアナは父親や他の狩猟者と共に、東の森の狩場に来ていた。
狩りは一日かけて行われるが、ずっと狩り続けるわけではない。
森の状態や生態系の調査、それらに異常はないか見回るのも狩りの内容に含まれている。
ティティアナにとって、それらは狩りよりも楽しい事だった。
好奇心が人一倍強いせいか、不思議に思ったことはなんでも知りたがり
自然と人よりも異変に気づきやすく状況分析も正確だった。
また、森の中にあるハーブの収集も兼ねているため
朝から狩りに参加している割には、狩った獲物はまだ兎を1,2匹ほどだ。
「ティティ、そろそろフランも起きるだろう。迎えに行ってきたらどうだ?」
ハーブを纏めていたティティアナの元に、父親がやってきてそう言った。
父親は、先程から落ち着かないティティアナの様子に気づいていた。
大方フランセスクに場所を伝えるのを忘れたのだろうと考え、ティティアナにそう声をかけたのだ。
「え、あ、うん。そうだね、お兄ちゃんってば来るの遅いから、ボクたちのお弁当まで遅くなっちゃうしね!」
案の定伝え忘れていたティティアナは、父親の言葉に肯定し
荷物をそのままに家へと走っていった。
その後姿を、父親は微笑ましく眺めていた。

ティティアナが広場に差し掛かると、見慣れない二人組が目に入った。
このあたりにはない上等な生地の服装。
明らかに、都市の上層の人間だ。
(上層の人間?なんでこんな村に…!?)
ティティアナが二人組の一人、青年とふと目があった時
奇妙な違和感に襲われた。
(あれ…なに、この人たち…。…エンディングが見えない…!?)
ティティアナは、自分以外のエンドブレイカーに出会ったことがなかった。
エンドブレイカーのエンディングを見ることは出来ない。
その事を、知らなかったのだ。
しかし相手の青年は一瞬驚いた顔をしただけで、自信のある尊大な笑みを浮かべてティティアナに話しかけてきた。
「へぇ、こんな辺鄙な村にもエンドブレイカーって居るんだな」
「む…何?居ちゃ悪いっての?」
青年の物言いにカチンと来たティティアナは、青年を睨みつける。
青年はそんな視線をまったく気にせず、一方的に質問を投げかける。
「ま、そんな事どうでもいいや。答えろ、この村で一番腕の立つ奴はどいつだ?」
「どこの誰とも知れない人に、そんな事言う義理も義務もないと思うけど?それに、そんな事知ってどうするのさ」
ティティアナは負けじと言い返す。
その間に、周辺の家の村人や外にいて声を聞いた村人たちが広場に集まってきた。
「ふん…。お前の物言い…本来なら懲罰を受けさせるところだが、俺の事を知らない田舎者だ。許してやろう」
あくまで青年は、尊大な物言いを崩さない。
「ちょうどいい…聞け!村人どもっ!俺はこの村を含むこの周辺地域を治めるオックスフォード家の嫡子、ランバート・オックスフォードだ。俺の命令に従わない場合は、即座にこの村を庇護下から外す。いいな!」
「!?」
青年…ランバート・オックスフォードがそう高らかに宣言すると
村人たちはザワザワと沸き立つ。
自らの村を治める領主の家の名は、子供でも知っている。
その息子…嫡子ともなれば、無碍に扱えば本当にそうされかねないだろう。
村人たちの様子を満足そうに眺め、ランバートは今一度…今度は命令として言い放つ。
「俺の要求はただひとつ。この村で、一番腕のたつ者を俺に差し出すことだ。それ以外に、この村に用はない。さっさと差し出すならよし。さもなくば…」
ニヤリと笑うランバートに、村人たちは戸惑いながら近くの者とヒソヒソと話しあう。
「ちょっと!なんで村人を1人あなたに差し出さなきゃいけないのさ!!エンドブレイカーのくせに村に悲劇を生み出すようなことしていいと思ってんの!?」
ティティアナがそう怒鳴ると、ランバートは鼻で笑う。
その態度が、ティティアナを更にいらつかせる。
「エンドブレイカーだからこそ必要なんだよ。…お前、他のエンドブレイカーを見たことがないんだな?」
「む…そりゃ、ないけど…エンドブレイカーだからこそってどういう意味!?」
「本当に知らないみたいだな」
ティティアナは、エンドブレイカーについて多く知らない。
幼い頃からエンドブレイカーとしての力は持っていたが、自分以外のエンドブレイカーについてはまったく知らない。
勿論何度も調べようとしていたが、文献などには載っていない以上は、他のエンドブレイカーに会う以外知る方法は無かった。
ティティアナとて目の前の男に教えを乞うのは癪だったが、他のエンドブレイカーがこの場に居ない以上
この青年に聞くしかなかった。
勿論、聞いたことをそのまま信じるわけはなく、疑問に思った部分はすべて指摘してやろうとティティアナは思っていた。
「ならば教えてやろう…。エンドブレイカーは、覚醒の仕方が人によってまったく違う。俺には、1人自分の《ガーディアン》を選ぶことが出来る力がある。この村には、その《ガーディアン》を選ぶために来てやったのさ」
「ガーディアン?そんなの、ボクの村でわざわざ選ぶことじゃないでしょ!ガーディアンが欲しければ、もっと強そうな人…騎士とかを選べばいいじゃない!」
ガーディアンが何かは判らなかったが、ランバートの話を総合して「この村の人間を一人ガーディアンに選び、ここから連れて行く」という事までは繋がった。
家族同然の村の人を、ランバートの勝手な都合で連れ出す…。
ティティアナは、それが許せなかった。
「煩い娘だ…この俺に意見するなど、身分の違いを弁えろ。お前を奴隷商人に売り飛ばしてもいいんだぞ」
いい加減ランバートもいらついてきたのか、声に怒気が交じる。
しかし、ティティアナは気圧されない。
「すぐ権力を持ち出すなんて器が小さい男だよね、まったく。こんな人がボクと《同じ》なんて信じらんない!」
ランバートは、ティティアナでは話にならないと
周囲に居る村人へと声を向けた。
「ふん…なんとでも言え。とにかく、この村で一番腕の立つ奴を俺に献上しろ。さもなくばこの村を陸の孤島にするぞ」
周囲の村人がザワザワとざわめく。
ティティアナは更にランバートに言おうと口を開いたところ…
視界が塞がれ、見知った布生地が目についた。
「お兄ちゃん!?」
ティティアナの前に立ちはだかったのは、フランセスクだった。
そして彼は、ランバートに向けて一言こういった。

「…私が、あなたに…ついて…いけば…村、に…手出し…しない…か?」

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【2009/09/16 19:02 】 | SS | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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