フランセスクの、エンドブレイカーになる経緯からマスターを失ってアクスヘイムへ辿り着くまでを描いたSS
『Nec possum tecum vivere, nec sine te. -私はおまえとともに生きていけない、おまえなしに生きていけない-』の、第一章の三話目です。
アンオフィ、オリジナルキャラの発生率が高いです。
また、展開によっては暴力表現・残酷描写・人の死等、暗い部分が存在します。
苦手な方はブラウザバックをおススメします。
オーケー、見てやってもいいぜ!
という奇特な方だけ、続きをどうぞ。
3.
東の森へ行くには、家から広場を通る事になる。
そんなに大きくない村なので、距離自体は短く人通りも多くないので
すぐに駆け抜けられるそんな場所だった。
しかし、広場の近くまでいくと
何故かいつも静かな広場に、人だかりが出来ていた。
フランセスクは不思議に思ったが、狩場へ向かうために広場へと近づいた。
広場まで来ると、人だかりの中心が見えるようになった。
そこには、見たことのない青年と青年に付き従う男の二人が立っている。
そして、その彼らの前には何故か狩りへ行ったはずのティティアナの姿があった。
「ティティ…?」
狩場に居るはずのティティアナが何故此処に居るのか。
フランセスクは疑問に思い、彼女の名前を呟く。
すると、周囲にいた村人がフランセスクに気づき小声で話しかけてきた。
「フラン、やっと来たんだね。ティティちゃんが大変なんだよ!」
「大変…?」
フランがそう聞き返すと、今度は別の村人の女性がまくしたててきた。
「そうそう、あの見かけない二人組。いきなり来て『村で一番腕の立つ奴を連れてこい』って言ってさ、私たちに命令しはじめたの。あまりそれが横暴で、ティティが割って入って喧嘩振っかけちゃったのよ」
「でも…それなら…あの、二人…皆で…追い出す、がいい…と…思う…」
前にも、盗賊やなんかがやってきたことがあったがその時は村人全員で追い払った。
今回も同じように追い払えばいいのではとフランセスクが言うと、村人たちは首を横に振った。
「それが出来ないんで皆困ってんのさ…。あの男、身なりが随分上等だろ?なんでもここら一帯の領主の息子なんだとさ。従わない場合は、村への輸出や援助を一切打ち切る…保護対象から外すって言ってんだよ」
この村では狩猟の他に、野菜なども数多く栽培しているため食料には困らない。
しかし、生活用品はもっぱら外に頼り切っているし
自分たちでは対処出来ない生物は、城塞騎士を領主に派遣してもらって退治をお願いする。
その為それらをすべて打ち切られれば、村はたちまち廃れていくことだろう。
「そっか…」
直接の手出しは出来ない。
しかし、妹が青年と言い争っている姿が気になり
フランセスクは広場の中央へと足を踏み出した。
「だから、ボクの村でわざわざ選ぶことじゃないでしょ!ガーディアンが欲しければ、もっと強そうな人…騎士とかを選べばいいじゃない!」
「煩い娘だ…この俺に意見するなど、身分の違いを弁えろ。お前を奴隷商人に売り飛ばしてもいいんだぞ」
「すぐ権力を持ち出すなんて器が小さい男だよね、まったく。こんな人がボクと《同じ》なんて信じらんない!」
「ふん…なんとでも言え。とにかく、この村で一番腕の立つ奴を俺に献上しろ。さもなくばこの村を陸の孤島にするぞ」
ティティアナと青年が言い争う内容が聞こえてきて
フランセスクは二人の間にティティアナを庇うように割って入った。
「お兄ちゃん!?」
突然前に現れた兄を、ティティアナは驚いた表情で見つめる。
そして更に、フランセスクは更に予想外の言葉を口にした。
「…私が、あなたに…ついて…いけば…村、に…手出し…しない…か?」
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